フリーランスを辞めたいと思ったらまず何をすべきか?判断基準と次の一歩を具体的に解説

フリーランスを辞めたい… 辞める判断基準とは?

「フリーランス・個人事業主をやっているけど、実はもう辞めたい……」という場合、次に何をすべきか分からないこともあると思います。周りに相談できる同じ境遇の方がいればいいですが、フリーランス・個人事業主は孤独ですし、周りに相談できる人がいないケースも多いでしょう。

そもそも「いま辞めるべきなのか?もう少し続けるべきなのか」で迷っている可能性もあると思います。

「フリーランスを辞めたい」と思っているあなたへ向けて、実際にフリーランス・個人事業主を辞めて会社員へ転職した私が、リアルな体験談をもとに辞め時・辞めると決めた場合の具体的な一歩までお伝えしていきます。この記事を読めば、辞めたい気持ちを整理でき、次に具体的な一歩を踏み出すことができるはずです。

目次(タップで該当箇所へ移動) 非表示

  1. 3分で「フリーランス・個人事業主を辞める or 続ける」を判断する考え方
  2. フリーランス・個人事業主を辞めたい原因を分析する
  3. お金とライフスタイルについて現実的に考えてみる
  4. フリーランス経験は会社員に戻っても無駄にはならない!
  5. 【実体験】私がフリーランス・個人事業主を辞めた時の意思決定プロセス
  6. 再就職・転職のために具体的にやると良いこと
  7. フリーランス・個人事業主を辞めるときのFAQ
  8. まとめ:フリーランス・個人事業主を辞めるのはキャリアの再設計

3分で「フリーランス・個人事業主を辞める or 続ける」を判断する考え方

「もう辞めたいかも…」という気持ちが強くなっていても、それが一時的なものなのか、継続的なものなのかによって、本当に辞めるべきかどうかは変わってきます。まずは「辞める or 続ける」を正しく判断するための考え方をお伝えします。

 

辞め時のサインは「明るい未来が想像できなくなったら」

あなたがフリーランス・個人事業主を辞めるかどうか判断する基準は「いまの仕事を続けた先に明るい未来を想像できるか否か?」です。

明るい未来が想像できるのであれば、続けてみる選択肢も良いと思います。逆に、未来にまったく希望が持てない状態になってしまっているのであれば、そろそろ辞め時なのかもしれません。私自身は、この判断基準をもとに、当時「辞める」という決断に至りました。

 

【体験談】「いまの仕事にワクワクできるか?」が超重要

参考までに私自身の過去の話をすると、会社員から独立して個人事業主になった当初は、自分がやってる事業・仕事に対して常にワクワクしていました。

  • 1年後には絶対に毎月○○万円くらい稼げるようになるんだ!
  • 今やっている事業はめちゃくちゃ上手くいくんじゃないか!
  • 目標の売上(利益)まで到達したらアレを手に入れよう!

……みたいな感じで、とにかく未来に対する想像(妄想)が明るかったですし、ワクワクしていました。

もちろん、大変なこと・辛いことなどもあったので、落ち込むこともありました。でも数日も経てば、また「やってやるぞー!!」といった感じでモチベーションが戻っていました。こういう状態が続いているのなら、フリーランス・個人事業主を続けていくのも良いと思います。

 

私の場合、あるときから「あぁ…今の状態しんどいな」という気持ちが続くようになってしまい、あまり明るい未来を想像できなくなってしまったのです。そうなってくると、日々の仕事へのモチベーションも上がらないですし、当然、事業自体もうまく回らない……という悪循環に陥っていきます。

これに対して「仕事なんてそんなもんじゃない?」という意見もあると思いますし、会社員であればそれでもいいかもしれません。良くも悪くも会社員の場合は、モチベーションの有無にかかわらず定期的にお給料をいただけますからね。

ですが、フリーランス・個人事業主の場合は、自身のモチベーションがイコール仕事の成果(収入)に直結します。この状況において、あなた自身が“自分の明るい未来”に期待できないのって地獄でしかないと思うのです。

ですので、あなたがフリーランスを続けるか否かは「明るい未来を想像できるか否か」、これがすべてだと思います。

 

お金・案件状況・メンタル・生活スタイルからも考えてみる

個人的には、先ほどの観点が「辞める or 続ける」の判断基準のすべてだと思っていますが、以下の観点も含めて総合的に考えてみるのも良いと思います。

周りの援助(頼れる人がいるか)

実家・兄弟との関係が良好か、配偶者に頼ることができるか、などは一つの目安になります。例えば、配偶者の方がいて一般的な収入を得ている場合、あなたが収入ゼロ円になったとしても何とかやっていける可能性があります。

プライドなどはいったん置いておいてこの観点でも考えてみると良いと思います。万が一のときに頼れる先があるのなら、もう少し続けてみても良いかもしれません。

お金(資金状況)

いざという時に頼れる人がいない(または頼りたくない)場合は、自分の資金状況が判断基準になります。

個人的には、貯蓄が「毎月の生活費×4~6ヶ月分」を下回った段階が撤退を考え始める時期なのではないかと思います。撤退して再就職するにしても、余裕をもって2~3ヶ月の転職活動期間が必要と考え、この辺が方向転換の目安になってくるでしょう。

案件状況

受託で仕事をしている場合は、現在の案件状況やこの先の受注できそうな案件状況を棚卸して、「○ヶ月先までは生活が成り立ちそう」などを考えてみると良いと思います。

メンタル

まだまだやる気に満ち溢れていて、最低限、毎日8時間くらいは仕事ができているのであればメンタル面は問題ないと思います。逆に「最近、仕事のやる気が出ない」、「モチベーションが上がらない状態がずっと続いている」といった場合は、撤退を検討した方が良いと思います。

独立していた当時、私は同じようなフリーランス・個人事業主の方の相談に乗ったことも多々ありましたが、一人で事業をやっている方の中にはメンタルが弱っている人も割と多いです。その状態で仕事を続けていても良い結果が得られる可能性は低いため、環境を変えることを検討してみても良いと思います。

生活スタイル(家族・ローンなど)

お子様がいらっしゃったり、家のローンがあったりなど、ある程度、先の出費が確定している場合は、これも踏まえて「辞める or 続ける」を検討していく必要があります。

極論、自分ひとりだけであれば「ボロアパートに引っ越して固定費を下げ、食事も3食パスタのみ」みたいな生活ができなくもないと思います。しかし、自分以外にも我慢を強いるのは…というのはあると思いますので、この辺も加味して撤退すべきか検討すると良いと思います。

 

注意すべき“よくある誤判定”

フリーランス・個人事業主の方は基本的に自分に自信を持っていて、ポジティブ思考であることが多いです。この性質は、基本的にはいい事だと思いますが、「辞める or 続ける」の判断を正しく行う場合、そのポジティブ思考が判断を誤らせてしまう危険性もあります。

以下のような“奇跡”に頼って「続けること」を選択するのは危険なので、注意してください。

  • 一発逆転の大型案件に期待する
    → 受注できなかった時に詰みます…
  • 根性でなんとかなる!と思いこむ
    → 根性論でなんとかなれば誰も苦労していません…
  • 「継続は力なり!」を愚直に信じすぎる
    → 一部は正しいですが、正しい努力をできているか?は振り返る必要があります

これらに頼って「続ける」と決めてしまうと、どんどん貯金が削られていき、取り返しのつかない状態になっていることもあり得ます。

 

フリーランス・個人事業主を辞めたい原因を分析する

先ほどの判断基準をもとに考えると「自分の状況はもうフリーランスを辞めた方がいいのでは?」となる場合もあると思います。
一方で、「せっかく勇気をもって独立し、フリーランス・個人事業主になったのにここで辞めてしまうなんて…」と考える気持ちもよく分かります。当時、私も頭ではわかっていても、感情・気持ちの整理をつけるまでにはだいぶ時間がかかりました。

ここではもう少し気持ちの面での整理の参考になるような考え方をお伝えしていきます。

 

辞めたい原因は一時的か、継続的か?

「辞めたい」と考えている理由が一時的なものであったり、2~3ヶ月先に解消されるのであれば、続ける選択をするのも良いでしょう。例えば、「いま受託して対応しているクライアントの仕事がストレスが大きい…」みたいな場合、その仕事が一区切りつけば、辞めたい原因が解消されると思います。

しかし、「自分ひとりで誰にも相談できずに仕事を進めるのが孤独すぎる…」といった理由で辞めようと考えているのなら、その悩みは継続的なものなので、フリーランス・個人事業主的な働き方が合っていない、と判断できます。

 

1年後の明るい未来を想像できるか?

結局はここが重要だと思いますが、「今の仕事・生活を続けた先の1年後に明るい未来を想像できるか」は、気持ちの面での整理でも役立つ考え方です。5年後、10年後の未来だと想像しにくいと思いますが、1年後くらいの未来であれば割とリアルに想像できるのではないでしょうか。

というか、自分自身で事業を行っている以上、せめて1年後の未来くらいは“計画”として考えている必要があると思います。そこに対して、明るい希望を持てていないのであれば、潮時なのかもしれません。

 

今の目標はフリーランス・個人事業主でないと実現できないのか?

仕事をする目的・目標・意味は、ぜひ一度振り返っていただきたい観点です。その上で、「今の仕事上の目標はフリーランスでないと達成できないものなのか?」を冷静に考えてみると良いと思います。ポイントは「今の自分の気持ちに素直になること」です。

私の経験からお伝えすると、私自身も独立当初はAという目標を持っていましたが、数年たった段階で振り返ると「あれ?Aはそんなに重要じゃないかもな…」となっていました。

良し悪しではなく、人の考えは変わります。年齢や環境、家族構成などによって、あなたの目標も独立当初とは変わっている可能性はあると思います。

 

1週間のリフレッシュで戻れるかを試してみる

気持ちの整理をつける上で、思い切って1週間くらい全く仕事をせずにリフレッシュしてみるのも良いと思います。旅行に行ってみるとか、趣味だけに没頭してみるとか。

単純に何らかの事情で「辞めたい」という気持ちが高まっているだけであれば、1週間くらいリフレッシュすれば、「もう一度、頑張ってみよう!」という気持ちが戻ってくるケースもあります。逆に、ここで気持ちが戻らなければ、撤退を前向きに検討すべきだと思います。

 

フリーランス・個人事業主からの撤退は「負け」ではない

冷静に考えてみた結果、「自分はフリーランス・個人事業主を続けるより、会社員に戻った方が良いのかも」と思ったとしても、なかなか気持ちの面で受け入れきれない場合もあると思います。

そんなときにぜひ知っていただきたいのは、「フリーランス・個人事業主を辞めたとしても別に負けではない」ということです。あくまでも、ただ転職をして別の職業・職種に就くだけです。働くことの意味や目標・目的は、また新たな場所で見つけていけば良いのです。

フリーランスから会社員に戻るのは負けじゃない|リアル体験談とメリット・デメリット

 

お金とライフスタイルについて現実的に考えてみる

現実問題として「フリーランス・個人事業主を辞めるか or 続けるか」は、お金やライフスタイル(ライフステージ)が大きく関係してきます。私自身、個人事業主から会社員へ転職したのは、お金の面での理由も大きかったのは事実です。この点について、もう少し深掘りして考えてみましょう。

 

ライフイベントで再就職を検討すべき局面(結婚・出産・介護・住宅購入・病気療養)

独立当初は「自分はとことん仕事に人生を捧げて成功するんだ!」と思っていたとしても、自分自身や家族の状況によって、考え方が変わることもあるでしょう。初志貫徹は大切ではありますが、以下のようなライフイベントによっては再就職・転職を検討してみても良いのではないかと思います。

 

結婚

フリーランス・個人事業主として収入面でも順風満帆であれば問題ありませんが、苦戦している場合、結婚時に収入面は重要な要素になると思っています。結婚する相手の方が「収入なんて気にしない!」という広い心を持っていたとしても、相手のご両親は配偶者になる人の収入を気にするものです。

また、相手や相手のご両親が気にしなかったとしても、あなたが安定して十分な収入を得られていない場合、自分自身が負い目を感じて結婚に踏み切れないこともあると思います。そういった意味で、結婚を意識したり、近々結婚したいと考えている場合は、転職も視野に入れてみても良いと思います。

 

出産

男性の場合、子供が生まれることでより安定した収入源が欲しくなる可能性もあります。女性の場合、妊娠~出産して子供が小さいうちはフリーランスとしてバリバリ働くのが難しいケースも多いでしょう。

会社員であれば育児休業給付金など、満額ではないにしても収入をある程度まで補償してくれる制度がありますが、フリーランスの場合はこういった補償を受けられないため、出産のタイミングでは収入面でどうしても不利になりがちです。

 

介護

両親・祖父母などの介護を理由に、転職を意識する人もいます。ただ、介護に関しては状況によって、フリーランスのほうが働き方に融通が利くケースもあると思います。

 

住宅購入

賃貸の審査や住宅ローンは、会社員に比べてフリーランス・個人事業主は通りにくい傾向があります。このため、家を買いたい場合は、それを機に会社員への転職を考えるケースもあると思います。

「フリーランスのほうが時代の変化があっても何らかの方法で収入を得て強く生きていけるはず!」などの考えもあるかもしれませんが、現実的には会社員のほうがローン審査などは有利になります。

 

病気療養

仕事において体が資本であることは間違いありません。会社員と比べてもフリーランス・個人事業主のほうが心身の健康がより一層、重要になってきます。心身の健康を損なってしまい、土日も休まずにバリバリ働く!といったハードな働き方ができなくなってしまった場合も、転職を検討してみても良いタイミングかもしれません。

「どんな症状で、何が原因か?」にもよりますが、土日が休めるようになり、有給も使えるようになれば、心身の健康を取り戻せそうなのであれば、会社員のほうが療養に適している場合もあるでしょう。

 

会社員の福利厚生で得られる安心感は偉大(有給・補償・メンタル支援)

お金の面において、会社員の“会社に守ってもらえる感”は思っている以上に大きいです。「個人事業主時代と比較して、会社員に戻って何が一番良かったか?」と聞かれたら、私は福利厚生面が一番だと答えます。

フリーランス・個人事業主の場合、病欠・やる気が出ない・プライベートを楽しみたい、など何らかの理由で仕事を休めば当たり前のように無給です。会社員であれば、有給休暇を使って給与が発生しながら休みをもらえます。他にも厚生年金保険料を会社が半分出してくれたり、会社によってはメンタルケアの支援や家賃補助があったりもするでしょう。

こういった“会社員にとっては当たり前の権利”も、フリーランス・個人事業主からすれば、神制度のオンパレードと言えます。

 

フリーランス経験は会社員に戻っても無駄にはならない!

フリーランス・個人事業主から会社員に再就職する場合に、ぜひ覚えておいていただきたいのは「今までの経験は会社員に戻っても決して無駄にはならない」ということです。職務経歴書にしっかりと記載すれば評価してもらえますし、面接でもフリーランス経験での学びを正しく整理すれば、十分なPR要素になります。

 

職務経歴書・面接では「成果 → 再現性」を意識する

会社員・フリーランス・個人事業主など、働き方に限らず、転職時に問われるのは「仕事で得た成果・スキルを次の会社でも活かせるのか(再現性があるのか)」という点です。会社員から会社員への転職でも、フリーランスから会社員への転職でも、この要素は重視されます。

自分がやってきた仕事の中で得られた成果・スキルを、転職先の会社でも再現性を持って活かすことができる、と伝えられるように準備しておきましょう。フリーランス・個人事業主特有の職務経歴書の書き方のコツに関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。

フリーランスのための履歴書・職務経歴書の書き方のコツ

 

主体性・成果思考・経営視点は強みになる

「独立して自分自身で仕事をして収入を得ていた」

この事実が、すでに主体性・成果思考・経営視点を持っていることの証明になります。(もちろん、面接の場ではそれらを具体的なエピソードとして語れることが重要です)そして、これらのスキル・特性はどのような会社であっても高く評価してもらえます。

逆に、「主体性が強すぎて、チームプレイや組織での事業推進が苦手なのでは?」と思われてしまう懸念はあります。ですので、主体性はあるけれど、周りにも合わせることができる点は補足として伝えられるようにしておきましょう。

 

特にスタートアップやベンチャーでは評価されやすい

フリーランス・個人事業主の経歴や得られたスキルは、特にスタートアップやベンチャーでは高く評価されやすいです。これらの会社では、決められた仕事の一部の領域を正確にこなすことよりも、正解が分からない領域で主体性を持って成果を出すことが求められます。

さらに言うと、スタートアップ・ベンチャーの中でも今の社長が創業者の場合はより一層、評価されやすいです。創業社長は最初はほぼフリーランス・個人事業主のような状態から事業をスタートさせていることも多く、その苦労も知っているため、あなたの経歴・スキルをリアルな実感として高く評価してくれます。

 

【実体験】私がフリーランス・個人事業主を辞めた時の意思決定プロセス

私自身は、4年半ほど個人事業主として仕事をしていたのちに会社員へ転職しました。その際に、どんなことがあり、どんなことを考えて「会社員に戻る決意をしたのか?」の実体験をお伝えします。少しはあなたの意思決定の参考になるのではないかと思います。

 

収益崩壊で月収2万円 → 業務委託契約 → 復活できず → 再就職を決意

私の場合、クライアントから業務を受けて仕事をする、いわゆるクライアントワークはほぼせずに、自分自身の事業を行っていました。詳細は割愛しますが、あるとき私が行っていたメインの事業の収益が崩壊し、一気に月収が2万円くらいになってしまいました…。あのときは本当に生きた心地がしなかったです…。

その後、いつも良くしてくださっていた起業家の先輩に収入状況を相談したところ、3ヶ月くらい業務委託的なお仕事を発注していただきました。(とても有難かったです)

自分としては「この3ヶ月間の間に収入を復活させるぞ!」と思っていたのですが、その頃になると収益を復活させるためのモチベーションも弱っていた(心も折れていた?)ようで、結局、復活はできませんでした。

良くも悪くも3ヶ月間くらいは生き延びられる収入を得られたので、その中で「今後の仕事をどうしようか…」と考えた結果、「再就職も視野に入れてみるか」という気持ちになりました。

 

実際、このとき以外にも独立している間に収入の危機は何度かありました。その度に「頑張るぞ!復活するぞ!」という感じで、頑張っていました。ただ、個人事業主を辞めると決めたタイミングでは「頑張ろう」という気持ちより「しんどいな…」という気持ちのほうが上回ってしまったんですよね。「これから先も何度も何度もこの苦難を乗り越えていく自信はないな…」みたいな。

私の場合は、そんな出来事・思考のプロセスを経て「会社員へ転職してみよう」となりました。

 

自分の事業は完全に辞めなくても良い

当時、フリーランス・個人事業主から会社員へ転職することを決めた私でしたが、自分自身がやっていた当時の事業を完全に畳むことはしませんでした。これは、あなたも同じようにするのが良いと思っています。

いまの時代、副業・兼業という形で自分の事業を行っている人も多いですし、一度、会社員へ戻ったとしてもまた独立したくなることもあるかもしれません。よほど転職活動に支障が出るような事業でない限り、残しておいた方が得だと思います。それこそ、月々数万円でも収益が出ているのであれば、会社員に戻った後も心強い収入源になります。

 

会社員+副業で継続する方向性を考えてみる

副業という形でも継続できそうな事業は残しておくことをお勧めしますし、私も当時そのような形を取りました。

この際の注意点として、転職活動における面接時は「自分の事業を副業として継続したい」という話は積極的にしない方が良いです。当然ですが、面接官は「自社の仕事に専念して欲しい」という気持ちを持っていますし、そういう人材を採用したいと考えています。入社前からわざわざ「自分は副業も頑張っていきたい」といった宣言は面接官に対する心証が良くありません。

どうしても心配な場合は、内定が出たあとに「副業OKかどうかの就業規則を確認する」などはアリかもしれませんが、個人的にはそれすら不要だと考えています。「副業推奨!」くらいに振り切っている企業であれば、腹を割って話しても良いですが、一般的な企業の面接の場合は、自分の事業を副業として継続しようと考えていることは伏せておくのが無難です。

 

まずは軽く動いてみて再就職するか否かを考える

私も、いざ「会社員に転職しよう!」と思って決断しても、「やっぱりもう少し自分ひとりで頑張ってみようかな…」とブレそうになることもありました。真剣にフリーランス・個人事業主をやっていた方ほど、100%方向転換するのはなかなか難しいと思います。

そんなときにオススメなのは「軽く動いてみて良い企業に巡り合えれば就職する」くらいの気持ちで転職活動を始めてみることです。私も最初はそれくらいの軽い気持ちで始めてみました。こんなことを言うのもあれですが、場合によってはまったく転職活動が上手くいかずに、フリーランス・個人事業主として生きていくしかないケースもゼロではありません。ですので、「良い会社があれば…」くらいのスタンスでも問題ないわけです。

ただし、面接のときは「再度、会社員として頑張っていきます!」のスタンスで必ず臨んでください。でないと、内定がもらえません。面接官は本気度合いが低い人材を、次の選考に進めたくないからです。「まだ再就職するか迷っています」という人に内定を出しても、時間と労力の無駄になってしまう懸念があります。

本音としては「まずは軽く動いてみる」のスタンスでも良いのですが、建前としては「会社員として本気で頑張っていく」のスタンスが大切です。

 

再就職・転職のために具体的にやると良いこと

軽い気持ちでも「転職活動を始めてみようかな」と決めたら、具体的な活動を開始する前にやっておくべき事があります。私の実体験も踏まえて、転職のためにやるべきことを以下でお伝えしていきます。

 

フリーランス・個人事業主のキャリアも記載した職務経歴書を作成する

転職活動において職務経歴書は必須になります。職務経歴書とは、その名の通り「自分自身が今までどんな職務を行ってきたか」を記載した書類です。フリーランス・個人事業主になる前に何社か会社員を経験している場合は、それらの経歴も含めて職務経歴書を作成します。

職務経歴書自体はその後の転職活動の中でブラッシュアップすることもできるので、まずは書いてみることが大切です。より詳しい書き方は以下の記事も参考にしてみてください。

フリーランスのための履歴書・職務経歴書の書き方のコツ

 

面接時の「なぜ辞めるのか?」に答えられるように準備する

転職面接においては「今の仕事をなぜ辞めようと思っているのか?」は必ず聞かれる質問です。会社員から会社員への転職時も聞かれますが、フリーランス・個人事業主から会社員への転職となると、より的確な回答が求められます。

独立して仕事をしていた人が会社員に戻るのは、よほどの理由があると思われがちです。このため、面接官が納得するような回答を準備しておく必要があります。

例えば、「収入面が厳しい」、「精神面がきつくて耐えられなくなった」などの逃避系の理由であったとしても、もう少しポジティブな理由に置き換えた方が印象は良くなります。そもそも転職における面接は、素直にすべての自分をさらけ出す場ではなく、自分の良い面を正しくアピールする場です。

 

転職エージェントに登録してみる

転職エージェントは専任のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動をサポートしてくれるサービスです。職務経歴書の添削、面接の回答に対するフィードバック、面接の練習相手などをやってくれます。

転職活動自体がはじめての人、フリーランス・個人事業主から転職する人に関しては、転職エージェントを使った方が良いと個人的には思っています。私自身も会社員に再就職したときは転職エージェントのお世話になりましたし、転職エージェントを使っていなかったら転職できていなかったかもしれません。

「転職活動を何から始めればいいのか分からない…」という状態でもアドバイスをもらえるのは非常に助かると思います。転職エージェントは転職先の企業側から人材紹介の手数料をもらうビジネスモデルになっているため、転職者側は無料で活用できます。

再就職するか否かを悩んでいたとしても「良い企業に巡り合えれば転職してもいいかな」という気持ちが少しでもあるのなら、利用を検討してみても良いと思います。

 

フリーランス・個人事業主を辞めるときのFAQ

フリーランス・個人事業主を辞めようと思っている場合によくある質問に対して、私の実体験をもとに回答します。

 

貯金額がいくら以下になったら辞めて再就職・転職すべき?

前提として、もし毎月の収入が安定しているのであれば、貯金額はあまり気にしなくても良いと思います。

一方で、赤字(毎月の固定費>毎月の収入)の状態が3~4か月続いている場合は、貯金が「毎月の生活費×4ヶ月分」以下になったら、転職を考えてみても良いのではないでしょうか。

会社員→会社員への転職と比較してフリーランス・個人事業主→会社員への転職はハードルが高くなる傾向があります。転職活動を始めてすぐに就職先が決まるケースもありますが、念のため内定が出るまで2~3ヶ月かかると仮定しておくと良いと思います。内定が出ても、入社してから最初のお給料が振り込まれるまでは1~2ヶ月のタイムラグがあるため、最低限4ヶ月分くらいの蓄えは欲しいところです。

 

辞めたら確定申告はどうなる?

自身の事業からの収益がまったく出ない状態であれば、確定申告は不要になります。税務関係は会社で行う年末調整のみでで問題ありません。ただし、会社からの給与とは別に、少しでも売上・利益が発生しているのであれば、確定申告を行う必要が出てきます。

副業・兼業として自分の事業を継続してやっていくのであれば、毎年の確定申告は必須です。確定申告を行う場合、特にそのことを会社に申告する必要はありません。会社員としての給与は年末調整で、自分の事業に関しては確定申告で税務処理を行う形です。

 

30代でも再就職・転職してやり直せる?

結論、再就職は可能ですし、やり直すことは可能です。私自身、個人事業主から会社員へ転職したのは30代になってからでした。ここに関してはあなたが持っているスキル・職歴と、転職を希望する会社のマッチ度合い、人材の募集状況によります。

ただ、一般的な傾向として年齢が上がれば上がるほどハードルが高くなるのは事実です。20代でフリーランス・個人事業主から会社員へ転職する人であれば「ポテンシャル枠」として採用してもらえる可能性もあります。30代前半もギリギリその可能性はあるでしょう。30代後半以降になってくると、さすがに「ポテンシャル枠」という年齢でもなくなってきますし、会社によってはマネジメントを行っている人も少なくない年齢層になるため、それ相応のスキル・職歴が求められるようになってきます。

とはいえ、年齢に比例してハードルが上がり、選考通過の難易度が上がるだけであって、やり直し自体は何歳でも不可能ではないと思います。

 

まとめ:フリーランス・個人事業主を辞めるのはキャリアの再設計

私自身、個人事業主を辞めて会社員へ転職すると決めたときは「自分のキャリアは終わった…」くらいに思っていましたが、ぜんぜんそんなことはありません!
会社員に戻ってから数年経ち、明確にそう言えます。

フリーランス・個人事業主が会社員に戻るのは、普通の転職よりも重く捉えられがちです。ただ、そう感じているのは本人だけで、周りから見れば、意外と会社員→会社員に転職するのとあまり変わりません。

あと、実際問題として会社の組織に所属してから数ヶ月も経てば、「あなたが前職で何をやっていたか?」なんてことは誰も気にしなくなります。重要なのは「新しく所属する会社で、目の前の仕事にどう取り組み、どんな結果を出しているか」です。

いざ本当に「辞める」となると、悩んだり、葛藤があったりする気持ちはよく分かります。ですが、フリーランス・個人事業主を辞めたからと言って、人生が終わるわけではありません。キャリアを少し変えるだけの話です。再就職をして1年も経てば、いまの選択も“普通に転職しただけ”という認識になっていくでしょう。

この記事で紹介した「辞める or 続ける」の判断基準をもとに、もし「辞める」と決断したのであれば、あまり難しく考えすぎずにまずは転職活動を始めてみるのが良いと思います。