「フリーランス・個人事業主をやっているけど、年収が低くてしんどい…」と悩んでいる人は少なくありません。
この記事では実際にフリーランス・個人事業主として4年半ほど働いていた経験がある私が、フリーランスの年収が低くなってしまう本当の原因と解決策について、自分の失敗談から学んだことも含めて解説しています。これを読めば、フリーランスとしての年収を上げるヒントがわかるはずです。
なお、この記事では、フリーランス・個人事業主の「受託の単価交渉テクニック」などは解説していません。そもそもの収益構造(収入源と働き方)を変えて、年収を底上げする内容にフォーカスしていきます。
フリーランスの年収が低い“本当の原因”は「収入の構造」にある
フリーランス・個人事業主として年収を上げたいのなら、「受託案件の単価をどうやって上げるか」、「価格交渉をどのように行うか」といったことを考えるのではなく、もっと根本の収入構造を変える必要があります。
受託ビジネスは資産にならない(立場が弱い会社員と同じ)
フリーランスのエンジニアやWebデザイナー、ライターなどをやっている方は、基本的に受託ビジネスを行っていることが多いです。「クライアントが発注し、プロジェクト単位や期間で報酬をいただく」という収益構造です。
実はこれ、普通に会社員と同じ収益構造になっています。というか、簡単に案件を切られる、単価を下げられるリスクがある分、会社員よりも弱い立場で、会社員と同じような仕事をしている状態です。まずはこの点に危機感を持つことが大切だと思います。
また、「稼働した分=収入」の構造になるので、収入の上限も頭打ちになりがちです。だからこそ、収益構造そのものを変える必要があるのです。
解決策:自分の事業を始めるべき理由
フリーランス・個人事業主としての年収をもっと上げたいのであれば、ずばり、自分自身の事業を始めるべきです。自身の事業であれば以下のようなメリットがあります。
- サービス・商品の単価を自由に設定できる
- 先方都合で収入が途絶えるリスクが低くなる
- 資産性がある事業であれば収入の上限値が高くなる
- 事業として売却できるケースもある
受託ビジネスの場合どこまで行っても、結局は「発注者に使われる立場」です。一方で、自分でオーナーシップを取って事業を行う場合、すべてを自由に決めることができます。それこそが本当の意味で“フリーランス・個人事業主”だと個人的には考えています。
駆け出しはフリーランスは受託スタートもアリ
独立当初から、いきなり自分のビジネスだけで食べていくのは難しいのも事実です。独立初期は“まず食べられるようになる”のが重要なので、最初は受託からスタートするのもアリだと思います。実際、最初は自分のスキルを提供して報酬をもらうのが楽でしょう。
ちなみに、私の場合は独立当初からほぼ受託ビジネスをやらずに、自分の事業のみで収益を得ようとしたので、それはそれで大変でした…。個人的には、最初のうちは受託ビジネスで手堅く収入を得つつ、徐々に自身の事業収入にスライドしていくのが最適だと思っています。
参考データ:自分の年収は他のフリーランスと比較して低いのか?
そもそも「自分の年収が低いかも?」と思っていても、実際にはそんなこともない可能性もあります。とはいえ、周りのフリーランスと年収を比較できる機会もそうないと思いますので、公開されているデータから自分の年収はどの位置づけなのかを把握してみましょう。
一般社団法人フリーランス協会が公開している「フリーランス白書2024」を見てみると、年収に関する調査結果は以下の通りでした。
| 現在の年収(経費控除前売上) | 割合 |
|---|---|
| 200万円未満 | 17.9% |
| 200–400万円未満 | 26.8% |
| 400–600万円未満 | 15.8% |
| 600–800万円未満 | 11.4% |
| 800–1000万円未満 | 6.8% |
| 1000万円以上 | 9.7% |
| わからない・答えたくない | 11.8% |
出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会『フリーランス白書2024』(PDF)
最多は200–400万円帯(26.8%)となっています。自分自身の年収と比較してみて「どう感じるか?」は人それぞれでです。
ちなみに、この調査データでは「経費控除前売上」となっているので、先の数値はどちらかと言うと「年商」に当たるのかもしれません。そう考えると、実際に「使えるお金」はこの表の金額よりもっと低い可能性もあると思います。
受託ビジネスが頭打ちになる3つの理由
フリーランスとして受託ビジネスをメインに生計を立てている場合、「そもそもの収入の構造を変えましょう!」という話は、最初はなかなか受け入れがたいかもしれません。
納得感を持って解決策に進んでいただくために、受託ビジネスが構造上どうしても頭打ちになってしまう理由をもう少し深掘りしてみます。
理由1:単価×稼働が収入の天井
受託ビジネスの場合、「単価×稼働」が収入の上限になります。稼働に関して、1日24時間は全人類で平等なので、この限界を突破するのは不可能です。
「それなら単価を上げればいいのでは?」となるかもしれませんが、そう単純な話でもありません。あなたが今の単価を倍に上げたとして、案件を継続的に発注してくれるクライアントはどれくらいいるでしょうか。
圧倒的に優秀で、唯一無二のスキルを持っていれば、どんどん単価を上げても発注をもらえると思います。ただ、そんなスーパースキルを持っている人はごくごく一握りで、ほとんどの人は単価を上げたら、別の人に発注先を変えられてしまうリスクがあります。
理由2:休むと収入がゼロになる
「単価×稼働」の収入構造において稼働には上限がありますし、稼働し続けることも現実的には不可能です。体調を崩してどうしても働けない期間があれば収入はゼロになり、リフレッシュのために休みを取る場合もやはり収入はゼロです。
受託ビジネスの場合、稼働がすべてを左右する収入構造になっているので、頭打ちになりがちです。
理由3:生成AIやコモディティ化による単価競争の激化
年収を上げるためには「単価」を上げたいところですが、世の中的には単価競争は激化していくと予想されます。(すでに激化している領域もあります)
領域によっては生成AIでの代替されてしまう業務もあるでしょう。各種スキルも昔に比べれば、だいぶ身に着けやすくなっていますし、スキルを補助するツール・サービスも豊富になっています。5年前、10年前と比べれば、あなたと同じスキルを持っている人は確実に増えています。
例えば、ひと昔前であれば「簡単な動画編集ができる」ことはスキルになり得ましたが、今の時代、CapCutなどを使って簡単な動画編集なんて誰でもできるようになってきています。となると、「簡単な動画編集の業務」はどんどん単価が下がっていくことになります。これと同じような事象が、今後もいろいろな業務領域で起こっていく可能性は高いと思います。
受託ビジネスから脱却する自社事業の小さな始め方
「年収を上げたい」という点を重視すれば、自分の事業を立ち上げていく必要性は理解いただけたのではないかと思います。ここでは自社事業の始め方について概要をステップごとにお伝えしていきます。
事業テーマの選定&アイディア出し
まずは、いま持っているスキル・これから身に着けたいスキル・興味がある事・やってみたい事などをひたすら書き出してみることをお勧めします。その中から「こんなことを自分の事業として取り組んでみたら売上・利益が作れるのでは?」と考えていきます。
別の視点では「世の中のトレンド」も重要ではあります。今の時代は何が流行っていて、どんなことをやるのが世間の注目を集めやすいのか、といった観点です。
ただし、結局は自分自身が興味を持てることでないと続けられないため、興味を持ち続けられるか否かは事業テーマ選定の重要な要素になります。
事業テーマに沿ったノウハウ・情報の収集
なんとなくでも「こんなことを始めてみようかな」と思ったら、以下の方法でノウハウや情報収集をしてみましょう。
- 書籍
- ネット検索
- SNS
- YouTube
- noteなどの有料コンテンツ
- 生成AIとの壁打ち
10~15年前と比べると、優良な情報を取得できる環境はかなり整っていますので、あなたがやろうとしている事業に関する情報を集めるのはそこまで難しくありません。
また、ほとんどのケースで、すでに同じような事業をやっている人はいるはずです。その人を徹底的に研究してみると、事業の進め方のヒントが得られます。場合によっては、参考にしたいと思った人が、書籍やnoteを出しているケースも少なくないと思います。
自社事業をミニマムスタートしてみる
ある程度、情報収集が完了したら実際に小さく始めてみましょう。店舗を構えるような事業でもない限り、初期投資をそこまでかけずに始められる事業はたくさんあります。
むしろ、最初のうちは大きな投資が必要となる事業ではなく、小さく始められる事業を選択するのが重要です。
継続・撤退ラインを最初に設定しておく
始める段階で「どうなったら継続するのか、撤退するのか」のラインを決めておくのは大切です。ただし、短期的に結果を求めすぎても上手く行くはずもないので、最低限3ヶ月間は取り組んでみるのが良いです。
「3ヶ月で○○の結果が出たら半年間、継続してみる」といった目標を立てて取り組んでみるのが良いと思います。この際、あまり無茶な結果を求めるのはやめましょう。大きな収益目標でなかったとしても、半年~1年先を見据えたときに「3ヶ月でこれくらいの結果は必要だな」というラインを目指すイメージです。
もし3ヶ月やってみて、そのラインに到達できない場合は、始めた事業に対する情報・努力・情熱のいずれかが欠けている可能性があります。やり方を変えるなり、取り組む事業自体を変えるなり、改善が必要になります。
会社員よりフリーランスのほうが手残りが少ない理由
収入源の改善として、自分の事業に取り組んでいくのは必須です。
一方で、自分の事業に取り組むか否かにかかわらず、フリーランス・個人事業主の収入の手残りが少なくなりがちな理由を知っておくのは良いことだと思います。理由(原因)が分かれば、対策もできるからです。
会社員には見えない可処分所得が存在する(保険料、福利厚生、有給)
同じ年収(年商)であれば、フリーランス・個人事業主よりも会社員のほうが手残りは多くなります。これは以下のような部分で、会社員のほうが優遇されているからです。
- 保険料
→ 社会保険料は会社が半分を負担してくれている - 福利厚生
→ 家賃補助などがあれば見えない部分で収入が増える - 有給
→ 稼働しない日でも給料が発生する
どれもフリーランス・個人事業主には存在しない制度なので、会社員のほうが制度上お金が残りやすい構造になっています。
フリーランス・個人事業主は自己投資をする必要がある
会社員がスキルを上げる場合、会社負担で外部研修を受けさせてもらえたり、日々の業務の中で先輩が無償で指導してくれたりします。
一方で、フリーランス・個人事業主の場合は、書籍購入・セミナー参加などの自己投資は、すべて自己負担です。独立してみるとよく分かりますが、スキルアップの点において会社員はとても恵まれています。
必要経費・税金のために貯めておく必要がある
フリーランスの場合、先々に支払うべき経費や税金の支払いのために、お金を取っておく必要があります。会社員の場合は、給与が振り込まれるタイミングで諸々の税金を引かれた状態になっているため、先々の支払いをそこまで気にする必要がありません。
フリーランスとして売上が振り込まれても、そこから諸々の経費を支払うために「○万円は残しておかなければ…」となるので、意外と手元にお金が残っている感覚がありません。
経費とは、結局は自分で稼いだお金の消費
SNSで「フリーランス・個人事業主なら必要経費を計上できるから会社員よりも有利!」みたいな発言を見かけることがありますが、個人的にはあれは微妙な考え方だと感じています。
確かに、事業にかかわる支出であれば経費になりますが、その“経費”というのは結局は自分自身で稼いだお金から支払っているので、実はぜんぜんお得ではありません。会社員における“経費”とは意味合いが違います。
会社員なら、タクシー代も、忘年会の費用も会社のお金で経費として処理されます。(お金の出どころは会社のお財布)
フリーランス・個人事業主の場合は(事業にかかわる)タクシー代・忘年会費用も確かに経費として処理できますが、そのお金の出どころは自分のお財布です。
年商が非常に大きく、儲かっているフリーランスであれば、確かに経費を使えるのはお得かもしれません。ですが、食べるのがやっと…という状態のフリーランスにとっての経費は、ほとんど消費と変わりません。
フリーランス・個人事業主のまま可処分所得を増やす方法
フリーランス・個人事業主を継続して頑張り続けるのであれば、可処分所得を増やす方法を知って実践するのが良いと思います。
収入自体を増やすのはもちろん大切ですが、私の失敗談も含め、今からでもできる根本的な解決策をいくつかお伝えします。
まずは必要経費・生活費を可視化する
会社組織であれば、「毎月どれくらいの固定費が必要で、最低限どれくらいの売上が必要か」を当たり前のように把握しています。フリーランスの場合、毎月の収入・支出をどんぶり勘定でやってしまっている人もいますが、必ず正確に把握しておくべきです。ひとり事業であっても、組織体系や人数の違いだけで立派な企業です。
解決策としては、家計簿をつけることをお勧めします。家計簿アプリ、Excel、スプレッドシートなど形式はなんでも良いので、とにかく支出を正しく把握することが重要です。
収入-支出(固定費+変動費)=可処分所得
フリーランスは会社員と比較して収入の変動が大きいですが、支出に関してはある程度は予測が可能です。
支出を正しく把握できていれば、そのときどきの収入に応じて変動費を増やす or 削る判断が正確にできます。例えば、必ずしも必要ではないモノを「買って良いか、ダメか」を判断するときに、感情ではなく、事実で判断できるようになります。
可処分所得を増やす上で支出の把握はとても重要ですが、これを軽視している人は多いです。
私は「可処分所得を増やしたい」、「貯金を増やしたい」という人に対して、家計簿をつけることを強く勧めています。実際に家計簿をつけて支出を正しく把握しはじめた人は、可処分所得を改善できるようになっています。可処分所得を増やすためにぜひ実践していただきたい内容です。
支出(経費)の中から不要なものを削る
3ヶ月くらい家計簿をつけて支出を把握すると、変動費の傾向もざっくりと見えてきます。
事業・生活費の支出が把握できたら、その中で削れるものを削っていきます。例えば、削れるものとして以下のような支出があります。
- 家賃
- オフィスやコワーキングスペースの費用
- 無駄なサブスク(ツール、ソフトウェアなど)
- 自己投資(書籍、セミナーなど)
- 交際費
家賃を削るのは勇気がいりますし、引っ越しなど労力もかかりますが、削減効果としては大きいです。本気で可処分所得を増やしたい場合は検討してみても良いと思います。
オフィスやコワーキングスペースの費用は、家賃ほどハードルが高くなく削れますし、削っても問題ないケースが多いです。
実は、私も独立当初、シェアオフィスを借りていたことがあり、借りたのがたまたま隣駅だったのでほとんど使ったことはありませんでした。それでも月3万円くらい払っていたので、とてつもなく勿体なかったです…。
固定費と一部の変動費に関しては、定期的に見直してみると「意外とこれ使っていないな…」というものは結構あります。
過剰な自己投資は“自己浪費”でしかない
可処分所得を増やす上で、もっとも強くお伝えしておきたいのは「過剰な自己投資は単なる無駄」ということです。
フリーランス・個人事業主の場合、自分自身でスキルアップして道を切り開いていかなければいけないので、会社員よりも自己投資の意識は必要だと思います。ただ、当時の私も含めて、多くのフリーランスは自己投資ジャンキーになっている傾向があります。要は、「自己投資=なんとなく成長している感」に浸ってしまっているのです。
確かに、その後の仕事や収入増に役立つ、知識・スキル・ノウハウもあるでしょう。でも、今までにしてきた自己投資も振り返ってみて「あれは無駄だったな…」というものも必ずあると思います。
正直、私はいま振り返れば、とても多くの無駄な自己投資をしてきたほうだと思います。それこそ、もう少し冷静に考えて自己投資するか否かを選択していたら、100~200万円単位で無駄な自己投資を避けられたと思います。
フリーランス界隈では「自己投資=正義」という雰囲気がありますし、一部は正しい側面もあります。しかし、“自己投資”という言い訳で、無駄なお金をただ浪費しているだけではないか?という観点は常に頭の片隅に持っておくと良いと思います。
【実体験】受託ビジネス→自社事業へのスライドが最強モデル
特に、これからフリーランス・個人事業主になろうとしている方、駆け出しフリーランスの方は「どのように可処分所得を増やすか」を知っておくと、自分の事業をスムーズに軌道に乗せられると思います。
結論として、スムーズに可処分所得を増やすためにはまずは受託ビジネスで手堅く収入の基盤をつくり、徐々に自社事業からの収入に切り替えていくのが最強の収入モデルだと考えています。
私の実体験(主に失敗談)も交えて、なぜこの収入モデルがおすすめなのかをお伝えします。
なお、ここで言う「受託ビジネス」というのは、企業から発注を受けてプログラムを書いたり、Webデザインをしたり、コンサルティングをしたり、といったクライアントワークを指しています。
【失敗談】最初から自社事業のみで独立・起業
私の場合、独立当初から基本的に受託ビジネスはほぼやらずに自社事業のみに取り組んでいました。(知り合いの社長さんから月数万円くらいのお仕事を頂いていましたが、受託ビジネスはそれ以外にはやりませんでした)
半年くらい自社事業に集中したことで、黒字化(収入>支出)できたので結果的には良かったのですが、最初の半年間は貯金を削って生活していたので精神的にはなかなかキツイものがありました…。
【反省】最初は受託ビジネスをやっても良かった
いま考えれば、あまりよくない事業の進め方だったな、と反省しています。当時は「自社事業で食えるようになってこそ独立した意味がある!」みたいな変なプライドのようなものがありました。
でも、独立までに獲得したスキルで企業から案件をいただけるのであれば、受託ビジネスで手堅く収入を得つつ、自社事業を伸ばしていくのが本当は良かったと思います。そのほうが精神的に安定しながら、自社事業の構築もできるのは間違いありません。
いつでも受託ビジネスで再起できる自信が身につく
独立当初に収入の一部を受託ビジネスで稼ぐメリットは、収入が安定するだけではありません。受託ビジネスの案件の取り方、進め方も知っておくと、万が一、自社事業が立ち行かなくなったときに「受託ビジネスで収入を得る」という選択を取れるのは強いです。
私自身の話になりますが、独立してから数年後に自社事業が大きく傾いたとき、いざ受託ビジネスをやろうと思っても、案件の取り方もわからなければ、コネもない、という状態になりました。そんな失敗談・反省も踏まえると、受託ビジネスをやりつつ、徐々に自社事業を拡大していくのがスムーズな進め方だと思っています。
会社員+兼業モデルへの切り替えも年収を上げる一つの方法
ここまでは、フリーランス・個人事業主を続けながら年収を上げる方法についてお伝えしてきました。一方で、別の選択肢として「会社員として組織に在籍しながら副業(複業)として自身の事業に取り組む」というのも年収を上げる上では有効な選択肢のひとつです。
実際、最近ではこの形式で複数の収入源を得つつ、ある程度の安定性を担保している人も増えています。
会社員に戻るのは負けではなく“ただの転職”
フリーランスとしての年収が、思い描いていた理想よりも低く、生活がきつい…という場合、会社員として再就職するだけでも年収が上がるケースは多いです。会社員は爆発的に高い年収を得るのは難しいですが、平均的な収入を得るだけであれば、そんなに難しくはないからです。
とはいえ、フリーランス・個人事業主 → 会社員に就職(転職)する場合、「負けた」と感じる可能性もあると思います。私は自分自身が個人事業主から会社員に戻る決断をした際に、「この選択は負けなのかも…」と、かなり悩みました。
ただ、結論から言うとまったく負けではないですし、「フリーランス・個人事業主」というキャリアも、あくまでも長いキャリアの中での“ただの1社”に過ぎません。思っている以上に、周りは本人ほど過去にフリーランスだったことを気にする人はいないので、過剰に気にする必要はありません。
この観点については、以下の記事でもさらに詳しく解説しています。
会社員+兼業モデルのメリット・デメリット比較
会社員をやりつつ、兼業で自分のビジネスをやるのはメリットも大きいです。当然、デメリットもあるので、メリット・デメリットを比較した上で、会社員+兼業モデルが自分にマッチするかを判断してみると良いでしょう。
メリット
- 月々の収入が安定する
- 収入が安定することで事業投資もやりやすくなる
- 精神面が安定する
- 福利厚生のおかげで可処分所得が増える
- 売上・利益より顧客への価値提供を重視できる
デメリット
- 「稼がないと!」といったハングリー精神が失われる
- 会社員の仕事がメインになり事業にかけられる時間が減る
- より大胆な事業は取り組めなくなる(平日昼の対応が必要な事業など)
- 会社規定によっては副業バレのリスクがある
- 生活全体の中の自由時間は少なくなる
【体験談】私自身は会社員へ戻ってみてどうだったか?
私の場合、個人事業主の最後の頃は収入面で厳しくなっていたこともあり、会社員に戻って感じるメリットとして一番大きいのは年収の部分です。
実は、収入が安定することによりメリットは意外と大きく、自身の事業にも良い影響があります。
例えば、先々の収入が見込めるようになったので、ある程度、大胆な事業投資もできるようになります。個人事業主時代は、収入の中から生活費を出して、税金を払って、事業投資もして…という感じで、カツカツなときもありました。
会社員としての収入が安定して入ってくれば、生活費はそこで十分賄えるようになります。すると、事業から得られた収益は、そのまますべて事業に再投資することも可能になります。
定期的な収入は、思っていた以上に精神面にも良い影響を与えるため、その観点で会社員+兼業モデルに切り替えるのは良い選択肢だと思います。
フリーランス・個人事業主の“年収が低い問題”に関するFAQ
フリーランス・個人事業主として「年収が低いので、もっと増やしたい!」と考えたときによくある質問に対して、私の実体験をもとに回答します。
受託ビジネス → 自社事業メインに切り替えるタイミングは?
毎月の経費・生活費を把握することが前提ですが、自社事業からの収益が毎月の経費・生活費を上回ってきたら、自社事業をメインにしていっても良いと思います。
このタイミングで受託ビジネスを完全にやめるのか、縮小していくのかは個人の考えに寄ります。受託ビジネスも好きでやっているのであれば、規模を縮小して続けていき、そこはそこで手堅く収入を得るのも良い選択です。
参考までに私の場合は、当時、受託ビジネスとしてできる仕事は「飽きていた」ので、仮に受託ビジネスをやっていたとしても自社事業が完全に軌道に乗ってきたら、受託は辞めていたと思います。これは完全に個人の好みで判断で良いと思います。
会社員に戻ったほうが年収は上がる?
「フリーランスとして自分の年収は低いのでは…」と思うくらいであれば、ほとんどのケースで会社員に戻ったほうが年収は上がると思います。
「フリーランス・個人事業主としての年商」と「会社員の年収」だと、単純に比較できないのが難しいところですが、個人の場合、年商の中から必要経費を支払った残りが自由に使えるお金になります。とてもざっくりですが、年商が1000万円を超えるレベルでないと、会社員に戻ったほうが年収が高くなる傾向があるのではないでしょうか。(もちろん、フリーランス・個人事業主としての業種や必要な固定の経費の大小により異なります)
この点においては、支出(事業経費・生活費)を正しく知ることが重要で、「自由に使えるお金がどれくらいか?」が分かれば、会社員に転職したときに「自分の年収が上がるのか、下がるのか」を把握できるようにもなります。
まとめ:フリーランスの年収を上げたいなら“支出の把握”と“収入構造の改善”がポイント
「フリーランス・個人事業主として頑張るよりも会社員へ戻ったほうが年収が上がるのか?」
これは今の自分の手残り(最終的に使えるお金)がいくらなのかで変わってきます。まずは事業の経費・生活費といったすべての支出を正しく把握した上で、判断してみるのが良いと思います。もし、フリーランスとして継続して活動していくのであれば、受託ビジネスだけに依存するのではなく、自分だけの事業を作り上げていく必要があります。
逆に言うと、自分の事業を作り上げていく気概がない場合は、会社員に転職してしまったほうが楽に年収を上げることができると思います。
もちろん、年収を追い求めることだけがキャリアにおける正解ではないため、「年収は重要ではなく、自分は好きな仕事を、好きなペースでやれればそれだけで満足」という考え方もアリでしょう。
一方で、いまの年収よりももう少し年収を増やしたいと考えているのなら、この記事を参考にしてみていただければと思います。
